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宝石用屈折計でわかることと使い方:ジュエリー作家の宝石学

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 ジュエリー作りに必要な宝石。
 自分で石を仕入れてジュエリーに仕立てるジュエリー作家にとって、宝石の知識はとても大切ですよね。

 

 宝石図鑑など宝石の情報に必ず記載されている、屈折率ですが、あまり気にして見てない方が多いと思います。
 化学組成を見れば大体の石の種類がわかるので参考にしていますし、石の硬度は石留めの時に最も気にすることの一つですが、
「屈折率って???」
正直、数字が並んでるな〜ぐらいで全く気にしてませんでした。

 でも、この屈折率、実は宝石を鑑別する上で最も重要な情報なんです。

 屈折率だけで、約80%の石の見分けができるというから驚きです。
 

 その、屈折率を計る屈折計、手のひらサイズで海外買い付けにも持っていきやすい大きさですし、家でも簡単に使えるんです。
 
 試作途中のままほったらかしておいて、「この石なんだったっけ?」って石とか
 天然石ミックスの格安ロットの石とか
 海外から購入した、なんかあやしい石とかを、
自分で鑑別できる可能性が見えてきますよね。

 

 そんな屈折率を計る屈折計について、詳しく見ていきましょう。

 

  

ジュエリー作家として活動中。
石の買付けも自分でしているため、宝石の知識を深めようと宝石鑑別講座を受講しはじめました。
自分の勉強のためにブログにまとめていますが、石好きさんや石を扱う作家さんのお役にたてればうれしいです。

 

↓光の屈折と屈折率についてはこちらの記事をご覧ください。

光の屈折と屈折率の話・ジュエリー作家の宝石学
宝石を鑑別する上で、重要な石の屈折率。 屈折計で屈折率を測れば、その石が何なのか大体わかるのですが、そもそも屈折率って何?って思ったので、調べてみました。 すると、難しい言葉と数式だらけで、さらにわからなくなったので自分なりにまとめてみまし...

 

屈折計とは?

 ・宝石の屈折率を測定する計測器です。
 ・偏光フィルターを併用することで、複屈折量も測定できます。

屈折計でわかること
・屈折率は宝石の種類によって異なるので、屈折率がわかればその宝石が何なのか知ることができます。
・約80%の宝石が何なのかわかると言われています。

 

屈折計でわからないこと
・通常の屈折計では、屈折率1.81(使用する屈折液にもよります)までしか計ることができないため、屈折率の高いダイヤモンド、ジルコン、ガーネットの一部などは測定できません。
・天然石も合成石も同一の宝石ですと屈折率が同じため、区別ができません。
(合成石は、人工的に作られたものですが、成分や結晶構造は天然石と同じなので屈折率も同じです。)

 

※屈折率を計ることは、宝石の鑑別をおこなう上で重要ですが、他の鑑別方法と組み合わせる必要があります。

 

屈折計の使い方

用意するもの
 ・屈折計
 ・屈折液

あるといいもの
 ・ピンセット
 ・ルーペ

 

 

1,ライトをつける

 私が使用している屈折計は、電池でLED電球が点灯するタイプなので、赤いスイッチを押してライトをつけますが、通常はペンライトなどで後ろから照らす物が多いです。

 

 

 点灯すると、のぞき窓から光に照らされたメモリが見えます。

 

 

 

2,ガラスに屈折液をつけます

 屈折液は、ガラスと石の隙間をなくし密着させるためのものなので、ごく少量でOKです。
 下の画像は、わかりやすいようにと思って多めにのせてしまいました。

 

 

 

3,宝石をおきます

 宝石のテーブル面を下にして、ガラスの上に置いたらふたをしめます。

 

 

 

4,数値をよみとります

 この数値のよみとりが、慣れないとなかなか難しいんですが・・・。

 基本は、影と明るいところの境目のラインのメモリを、小数第三位まで見ます。
 下の画像を見ていただくとわかると思いますが、メモリは小数第二位までしか表示がありませんので、1メモリを目分量で10分割しないといけないんです。
 さらに、影と明るいところの境目ってそんなにくっきりしてないんですよ。

 慣れが必要な理由がわかっていただけたかと思います。

 先生には、「一日一個屈折とって慣れようね。」と、言われましたが、なかなかできていないのが現実です。

 

 もう一つ、宝石には単屈折のものと、複屈折のものがありまして(宝石の中に入った光が、単屈折=1本、複屈折=2本に分かれる)、単屈折の石は単純に一つの数字をよみとればいいのですが、複屈折の石は2つに分かれた数字を見ないといけないんです。

影と明るいところの境目がうっすら2本見えるときは、複屈折の石なので、偏光レンズをのぞき窓の上にかぶせてレンズを回します。
すると、影の境目が上下に動いて1本ずつよみとることができます。

 

 石によっては、結晶軸の方向で数値が変わるので、宝石の向きを変えて数回計測し、最小値と最大値を出します。
 最小値と最大値の差が複屈折量になります。

 産地や色の濃さで数値は多少変化するので、屈折率と複屈折量を総合的にみて判断します。

 

 屈折計の使い方でもう一つ大事なこと、
 レンズ部分を上下させることでピントを合わせることができます。

 

 屈折率を計ったら、その屈折率がどの石に当てはまるか確認すればいいだけです。
屈折率は、ネットで調べることもできますし自分で主な石の屈折率表を作るのもいいと思います。

 私も、屈折率表を作っているところなので、見やすいものができたらご紹介したいと思います。

 

まとめ

 少し難しい話もあったかと思いますが、すっごく特殊な機械がないとできないと思っていた鑑別が、制限はありますが案外簡単にできることが、おわかりいただけたかなと思います。

 少し難しい数値のよみとりですが、実際やってみながら慣れていくのが一番かなと思います。
 初心者でもよみとりやすい石は
・小さい石より、大きい石
・カボッションより、ファセットカットの石
・クリアで内包物の少ない石
 です。

 まずは、一日一個、屈折とって慣れていきましょう。

 

 

 おすすめの屈折計

 屈折計に興味がわいた方のために、おすすめの屈折計をご紹介したいと思います。

 私も使用しているのですが、こちら⬇の屈折計

金森貿易/カナモリボウエキ/宝石鑑別用 屈折計セット LED内蔵型

価格:19,800円
(2021/1/10 22:38時点)

 この金森貿易さんの屈折計が、国内では一番安かった。
それで、後から知ったのですが、金森貿易さんはミネラルショーにも出店されていて、You Tubeにもチャンネルがあり、宝石の鑑別についてとても詳しいです。
 

 重要な使い勝手についてですが、
 学校で使用している屈折計は影と明るいところの境目にプリズムの虹色が出るので、その中の黄色のラインの数値をよむタイプ(たぶんこっちのが精密)なのですが、どこが黄色かとても見にくい。
 比べて、この屈折計は単純に影と明るいところの境目をよめばいいので、初心者には見やすくてありがたい。先生も、「見やすいねぇ。」と、言ってました。

 数値も学校のと比較しましたが、誤差はなく、初心者の練習用としては十分だと思います。

ちなみに、こちらの屈折計に屈折液はついていますが、LEDライト用のボタン電池はついてませんので、LR-44ボタン電池3個をご用意ください。

 

 

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