鍛造(たんぞう)は、「金属を切って・曲げて・たたいて形を作っていく」というと、なんとなくイメージできますが
鋳造(ちゅうぞう)は、「なんで、蝋で作ったものが金属になるの???」って思いますよね。
馴染みが無いと思われる鋳造ですが、実は生活の中で使っているものが鋳造で作られているんです。
鋳物(いもの)の鍋とか鉄瓶とか、キッチンに鋳造で作られた物(鋳物)がありませんか?
作りたいものと同じ形の空洞を作り、そこに金属を流し込む加工法です。
型(鋳型)の種類は、
・砂を固めて作った砂型 ⇒ 南部鉄器、バーミキュラ、ル・クルーゼなど
・金属を削って作った金型 ⇒ 機械部品など(金型は繰り返し使えます)
・石膏などの型 ⇒ ジュエリー、小ロットの機械部品など
それでは、ジュエリーの鋳造方法について見ていきましょう。
鋳造工程
基本的に、ワックスで原型を作ったあとは、鋳造屋さんに送って鋳造してもらい、そのあと磨いて完成させます。
鋳造工程⑥での、脱ロウでワックスがロスト(lost)するので、この鋳造方法をロストワックスと呼びます。
※lostは英語で失われたという意味です。
自分で鋳造する方法
私は鋳造業者に鋳造依頼をしており、自分で鋳造する方法については一般的な知識しかありませんので、簡単に説明したいと思います。
溶けた高温の金属を扱う作業なので、自分でされるかたは十分注意しておこなってください。
簡易的なのが、圧迫鋳造
上の鋳造工程の⑥のあと、まだ鋳型が熱いうちに湯口の上で金属をバーナーで溶かします。
溶かしただけでは型に金属が流れ込んでいかないので、圧迫蓋を使います。
圧迫蓋の裏側には石綿(ロックウール)が詰めてあり、それを水で湿らせておき、金属が溶けたタイミングで蓋をかぶせると、熱で水が水蒸気になり、その水蒸気の圧力で溶けた金属を型に押し込みます。
とても、単純な鋳造法なので、全てが加減で決まります。
溶けたタイミングで蓋をまっすぐかぶせないと水蒸気がもれたり… 上手く流れないことも多いです。
実用的なのが、遠心鋳造
上の鋳造工程⑦の作業を遠心鋳造機を使っておこないます。
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遠心鋳造機はルツボで金属を溶かしたら、機械をくるくる回し、遠心力で溶けた金属を型に流し込みます。
溶けた金属が飛び散ると危ないので、カバー付きがおすすめです。
どちらも、慣れないと失敗も多く、溶けた金属を扱うので注意が必要です。
また、湯道に流れ込むぶんの地金も必要になるため思ったよりコストがかかります。
鋳造屋さんに送ると日にちがかかりますが、自分で鋳造するなら当日仕上げもできるので、そこはメリットかなと思います。
↓自分で鋳造する方法について、少し深堀りしてまとめた記事です
鋳造の流れをなんとなくご理解いただけたでしょうか?
自分の作ったワックス原型、鋳造屋さんに送ったあとこのように加工されて、シルバーやゴールドになって返ってくるんですね。
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